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「ヒヤリハット警報」発令中!

 5/15(水)、職員室のホワイトボードに教頭が書いた言葉。
 
 小さなケガや事故が続く時に「ヒヤリハット警報」を発令するそうで、私も全ての教室を回って先生や児童に安全に対する確認をして回りました。


 ちょうどこの時、私は「校長経営戦略予算」の申請書を書いていました。

 「加算配布予算」は最高金額500万円で、第三者機関による審査があります。通るかどうか全くわからない。「これが取れへんって何のための民間人校長やねん」とツッコまれるプレッシャーを感じつつ(笑)、敷津小の子ども達への熱い想いをこめて申請書と添付書類を書きました。

資料2


 一方「基本配布予算」と言われる金額は、ほぼ確実に申請が通ります。

 敷津小学校に来てから、私がずっと気になっていたことがありました。
 それは「職員室から校庭がほとんど見えない」ことです。

 通用口に防犯カメラをつける話も出ていましたので、基本予算で運動場をモニターチェックできるカメラと、運動場と職員室をつなぐ内線電話を1本増設することにしました。ネットで調べると十分予算内ですが、業者を自由に選べないのが学校予算の難点。

 予算執行の自由度を高くすれば、税金のムダ使いや手間の削減になると思います。ただし、公的機関と民間事業者の癒着も問題になるところ。そのため、今は手続きもろもろが非常にめんどくさいことになっています。

 基本配布の予算内でできることなので、ぜひ、通してもらいたいところです。
 

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 さて、公募校長として書くべきか否か迷ったのですが、あえて書きます。


 報道によれば「35人の公募校長」が来春、大阪に生まれる予定です。
 http://www.asahi.com/national/update/0518/OSK201305180023.html
 
 その分、本来は校長になるべきだった教頭先生たちの枠が狭くなります。今、まさに学校現場で公募校長として働いているからこそ、この点について危惧しています。

 
 敷津小学校が、学校現場の素人である私をトップにしながらも4月1日の着任から今まで、無事に学校スケジュールが進んでいるのは、地域と学校を把握している4年目の糸井教頭がいるからです。また、新旧教務主任のお2人が、引き継ぎをしながら情報を整理してくれているからです。そして、教職員の方々がそれぞれに助け合って義務を果たしてくれているお陰です。


 情けない話、学校に来た当初の私は、校内放送の仕方もわかりませんでした。PTA役員と交わすべきやりとりも知らない、地域の組織がどう学校に関わってくれているかも知らない。


 教育センターで研修を3ヶ月受けてきたとは言え、地域性が濃く反映される各学校の情報については、教頭先生に尋ねないとわからないことだらけです。その分、学校運営に取りかかるまでのタイムラグができてしまう。
 

 教頭として経験を積み、複数の校長のやり方を見た上で、自分のマネジメントで作りたい学校を作る。それが、やはり本来のあり方だと、民間人校長だからこそ思います。「ヒト・モノ・カネ」が自由にならない中で、創意工夫を凝らして学校を引っ張ってきた教頭出身の校長先生は、大阪市にたくさんいるのです。

 そこにようやく、今回「校長経営戦略予算」が与えられた。
 振興計画の「校長により多くの権限を与えるマネジメント」の方向性は、間違っていない。

 しかし、新しいやり方だから民間人の方が得意だろう、というのはあまりにも単純過ぎます。なにせ11人集まった初代公募校長の経歴をとってもさまざまで、「民間」「マネジメント」の定義って大ざっぱやなぁと研修中に話していたものです。

 100人規模の組織を回して来られた方もいれば、海外の複数部署を束ねて来られた方もいる。私は進学塾でのマネジメント経験ですが、メーカーや銀行出身の方もいる。「民間人だから新しいタイプのマネジメントが得意」とは言い切れません。


 シンプルに、学校を知り尽くしている教頭先生が、新しいマネジメント手法を学ぶ方がきっと早い

 多くの学校と校長を見てきて、「こんな学校を作りたい」と燃える想いを持つ教頭先生がたくさんいるはずです。その実践が活かされず、激務である教頭業務をこなす先に、道が開けなければどうなるか。大阪の教育現場を知っている管理職人材が、ますます減ってしまいます。


 「アンタのせいで一人分の枠が減ってるねんで!」というツッコミは、重々承知の上で……。

 そうは言っても公募があった事実は覆らず、私が通らなければ他の誰か民間人が通っていただけのこと。だからこそ、与えられた立場で私は懸命に務め、公募校長の立場だからこそ言える疑問を投げかけるのも、使命の1つだと思っています。

 また諸方面から指導が入るかもしれませんが、あくまで私個人の意見です。

 
 なぜ、私がこの話に触れたかと言うと、最初の「ヒヤリハット警報」につながります。


 私が進学塾を退職した理由の1つは、上場を目指して校舎を増やし、管理職を濫造する会社の方針に危機感を覚えたからです。


 異業種のセールスマンがヘッドハンティングされて来て、授業ができなくても営業ができる校長が評価されるようになりました。私は「授業が良ければ生徒が伸びる、生徒が伸びれば口コミで増える」と思っていましたが、会社はもっとスピードを求めていたようです。テスト作りや日曜特訓の講師を任されて忙しいのに、あまり評価されない「授業に熱心な校長」の理不尽さにブータレていました。


 今、その私が「学校の授業ができない校長」になってしまっているので申し訳ないのですが……。


 強引に経験の浅い管理職を増やすと、どうなるか。

 ベテラン校長による校舎間相互のチェック作用も効かなくなり、現場サイドでトラブルが頻発します。小さなトラブルの処理に追われて余裕がなくなった先に、大きな事故や事件が起こります。
  
 子どもの命を預かる現場、若い教職員が増えている中に民間人校長の組みあわせで、大きな事故や事件が起きないか危惧しています。その視点も踏まえて、公募や研修が行われることを願ってやみません。

 
 敷津小学校では、月曜日からも引き続き「ヒヤリハット警報」の解除を目指して、学校の安全点検を行います。


  
 《今週の一コマ》


 地域の校長歓送迎会がありました。

kannsou.jpg


 「こ、こんな立派な歓送迎会があるのか!」とビビったというのが本音です。地域の方の想いと歴代校長先生からのバトンを受け取り、責任の重さを改めて感じました。

 1年前の5月17日、私は朝方4時過ぎに出産をして、小さな赤ん坊を眺めていました。「オトウチャンとオカアチャンのところにようこそ!」を彼にたくさんつぶやいた日の1年後に、「敷津へようこそ!」とたくさんの方に言っていただきました。

 3年後か5年後、任期明けの歓送迎会で「敷津に来てくれてありがとう」と言ってもらえるような、学校にしたいと思います。ご出席の皆様、アドバイスをくださった校長先生方、ありがとうございました。



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★敷津小学校公式サイト★
http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e611307
先週から色んな先生が投稿するようになりました。楽しみにしてください!


★「日経DUAL」で連載はじめました★

「子育て校長だからわかること~ママ世代公募校長奮闘記」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0900C_Z00C13A5000000/

日経新聞の電子版の中で、共働きをテーマにした媒体に隔週で連載を持つことになります。第一回が掲載されました。また、改めて紹介します。

たまたま私が乳幼児のいる校長というだけで、学校現場には子育てと仕事を両立している教職員の方や、介護問題に直面している校長先生方もいます。今後の連載では、取材も積極的に行う予定です。

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テーマ : 小学校
ジャンル : 学校・教育

Tag:考えたこと 

プロフィール

山口 照美

Author:山口 照美
前・大阪市立敷津小学校校長。現在は別の形で公教育に関わっています。

大阪市の公募で採用された民間人校長の1人。塾の校長経験を経て起業し、広報代行会社の経営やセミナー講師を11年間務めた後、2013年4月より3年間、校長職を務めました。

介護福祉士の夫と小3の娘、3歳の息子(2016年現在)に支えられ、「経済格差を教育格差にしない」を目標に、企画力と行動力で教育に関わり続けます。

著書『企画のネタ帳』(阪急コミュニケーションズ)『売れる!コピー力養成講座』(筑摩書房)『現代語で読む「たけくらべ」』(理論社)など。

日経DUAL連載中
http://dual.nikkei.co.jp/list.aspx?rid=1436

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