3回目の運動会を終えて。


 長く空いてしまいました。

 この間にさまざまな学校課題や行事や個人的なミッションがあり、ようやく乗り越えて一息ついたところです。昨日、運動会が素晴らしい秋晴れの下、行われました。

 国際色豊かな保護者席、PTA・来賓・卒業生も交えた競技や河内音頭の和やかさ。私の大好きな、アットホームな敷津小の運動会です。幼児競技のかけっこには、育休中の先生がお子さんを連れてきてくれました。微笑ましい1シーンです。

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 前日に娘の小学校の運動会があり、900人を超える大規模校のスケールに圧倒されました。その一方で、小規模校の良さも感じます。6年間少ない人数で助け合ってきた、最後の組体操。5年生と一緒にやることで、「先輩の背中を見て育つ」機会になる。どの学年も、人数が少ないからこそ、全員が主役。4年生以上は、全員に役割がある。助け合わなければ、やりとげられない。

 日本式の協調や規律を求める運動会に対しネガティブな意見もあります。しかし、私は外から現場に来た分、協調性や根性論とは別の部分で、日本の小学校の運動会のプラス面を感じています。

 練習を重ねてPDCAを回し、本番にピークを合わせる経験を積む。

 親に教育成果を見せることが目的ではありません。ただ、見る人がいる相手意識や〆切りがあるのと無いのでは、取り組む心構えが変わります。「この日までに完成させよう」という気持ちで、子ども達が取り組むことに意義があります。

 運動会や学芸会などの発表の場が無ければ、スポーツや芸術関係の習い事をしている子以外は、「オンの緊張感」を体験することは少ない。しかも、個人ではなく団体で完成を目指すところに、意義があります。個人でこの機会を得るのは難しいものです。

 その「Plan(計画を立て)Do(実行し)Check(振り返り)Action(改善する)」過程のうち、高学年になればなるほど「どこが良くなかった?」「どうすればいい?」を自分たちで話し合い、考えられるようになります。これは社会に出ても、必要な力です。

 個人レベルでも、自分の仕事や家事、お金の使い方や健康管理のすべてにおいて、PDCAのサイクルを意識するかどうかで、自分の理想に近づくかどうかが変わります。

 もちろん、不慮の事故や病気など予想できないこともありますが、ほとんどのことはPDCAで前に進む。日本の先生が何気なく繰り返している行事や指導の中には、子ども達が失敗をプラスに変えて、チームで励ましあう力をつける要素が詰まっています。その中に、個別の体力や安全性への配慮は絶対に必要です。実際の仕事も、各自の事情に合わせた柔軟さが必要なように。

 もし、体のどこかが痛くてできないなら、できる技を考える。
 黙って耐えるのではなく、理由を説明し、代案を考えることも、生きる力です。


 集団圧力の中で言い出せない空気を作らないよう、個人の事情に配慮する発想の柔らかさが、指導者には必要です。

 低学年や中学年のダンス、リレーのバトンパス、係の連携プレー、いろんな場面で「こうした方が良くなるね」「○○さんは上手だから真似しよう」「今のうまいやり方!」と子ども達が自分で気づいていました。運動会は本番以上に、過程にドラマがあります。一人ひとりの顔がはっきり見える運動会だけに、あちこちで泣かされました。

 組体操の後、卒業生に「また校長先生泣いてる!」とからかわれましたが、毎年、違った想いの涙が流れます。

 幸せな一日でした。





 さて、運動会の前には、いくつか仕事の山場がありました。

 一つは、浪速区役所の依頼で2回の広報研修をさせてもらったことです。
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 学校現場にいて、地縁のない保護者や渡日の保護者にとって「公立小学校や保育園が唯一の地域情報源」に近い現実を知りました。広報誌やポスターでは届かない情報を、いかに伝えるか。「相手をよく知って伝えるツールや言葉を使い分ける」コツを、敷津小の試行錯誤をもとに話をしました。

 後半は、浪速区の人口や税収を増やすために必要な、広報のアイデア出しワークをやりました。やはり子どもが増えないと、小規模校は存続が難しいからです。豊中市・伊丹市・和歌山市・高知県等で自治体研修を多くやってきましたが、校長という肩書きでさせてもらうのは初めてです。学校現場からの提案や想いを盛り込み、2時間の講座を実施しました。

 私が研修講師として、また塾講師として意識しているのは「再現性」です。習ったことは実際に使えなければ、意味がない。忙しい運動会前でしたが、自分でも勉強し直してやらせてもらいました。行政の方とつながれて、いい機会になりました。




 もう1つの山は、「子育てサロン ぽんぽこ」のオープンです。地域の方とおもちゃを消毒し、マットを敷き、わくわくしてその日を待ちました。みんなお揃いのピンクのエプロンをつけ、オープニングセレモニーが終わると、すぐに赤ちゃん連れの若いお母さん達が現れ、どよめきが(笑)。

「本当に来た!」

 続々と来るお母さんと子どもに、抱っこひもから下ろすのを手伝ったり、遊びを見守ったりと、みんなが手分けしてウキウキと働きました。命の力でいっぱい、生きる元気がいっぱい。月齢の近いママさん同士が輪になって話している姿も、「つながる場」を作れた喜びでいっぱいになりました。

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 浪速図書館の館長さんに、読み聞かせをしていただきました。手遊びもしていただき、和やかな時間でした。終わった後のふりかえりでは、改善策があれこれ出て「みんなで作る子育てサロン」を実感しました。

 その中で、参加したお母さんから「このボランティアさんの中で、ファミリーサポートに登録している方はいませんか?こうして会った方に預けられたら安心なんで……」と質問がありました。これぞ、私が考えていた「次の一手」です。

 ファミリー・サポートは、自治体が子育てを支援して欲しい人と、支援できる人をマッチングする仕組みです。有料なので、経済的に事情のある家庭には補助が出る自治体もあります。(大阪市は補助が出ません)
http://www.osaka-kosodate.net/k_fsc/sikumi.html

 1時間800円前後で保育園や学童のお迎え代行、家での預かりなどをしてくれます。私自身、長女と長男の保育所が別々だった時に、近所のファミサポさんに助けられました。2人をいっぺんに預かってもらったこともあります。

 地縁のない私にとって、近所で子どもを預かってくれる方がいたことは、心強い味方でした。まだまだ、制度的に援助側の登録研修が遠くて不便だったり、マッチングが難しかったり、まだ登録者数が少ない=告知不足だったりと、課題はあります。しかし、仕組みはできているので、最大限に活かせば子育て支援は一気に広がります

 いずれ、それぞれの地域の子育てサロンから、ファミリーサポートの輪が広がればいいなと思っています。

 今は、最初の一歩をようやく踏み出したところです。
 次回は10月24日(土)10時~11時半で、敷津小となりの高岸老人憩いの家でお待ちしています!
 
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 それにしても、敷津地域のパワーを思い知るオープニングでした。みなさんの情熱があり、予想の倍の親子連れが来てくれたのだろうと思います。私も教えていただくことが、たくさんありました。数にこだわらず、長く、続けていきたいです。

 子育てしやすくても、進学先の公立小が不安なら意味がありません。

 明日からまた、敷津小の日々の課題にもチーム敷津で向き合い、取り組んでいきます。いつも同じことを書いていますが、繰り返し、繰り返し、何度でも。

 組体操のあと、退場門で練習に関わってきた教職員や支援スタッフが子ども達をハイタッチで迎えました。

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 その風景を見て、隣で見ていた連合町会長さんが
 「チーム敷津、やな」
 と、つぶやいていました。

 学校の空気が伝わっていることに、じわっと感動しました。
 また明日からも、「小さな学校★大きな家族 チーム敷津」で!


 《先月の一コマ》

 シルバーウィークは、家族旅行で大山に。実家が鳥取県浜村町にあるので、中途半端に近くて泊まるのは初めてでした。2日目に行ったフィールドアスレチックの「アリ地獄」に、小2の娘がチャレンジ。

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 斜めに駆け上がるとたどり着けるのですが、5回ぐらいチャレンジして、あと一歩及ばず。大人でも失敗する人がいて、なかなか面白いスポットでした。

 私は子どもとつきあってアウトドアに行く度に、自分が「超インドア派」であったことに気づきます。運動は本当に苦手。

 運動会のPTA競技の大縄跳びでは何度も引っかかり、「ダメダメですやん!」と教職員にツッコまれる有様。教職員参加の大玉転がしでは、学生支援スタッフに置き去りにされました……。

 今後もフィギュアスケートを見る専門で、がんばります(笑)。
 浅田真央選手の復活、どんなスポ根マンガ家でも書けないような第2章の始まりに、参りました。

 
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★掲載情報★

日経DUAL 「いじめ問題は『隠す』より『表に出す』」
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=7046
LINEいじめ防止スタンプの公募をはじめた理由を、自分で書きたかったのでまとめました。
ネットいじめは見えにくい分、話題にするきっかけが必要だと考えています。

http://www.asahi.com/articles/ASH987H5ZH98PLFA00B.html
朝日新聞にも掲載されました。

〆切りは10月20日です↓
http://www.osakan-space.com/blog/8266


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★敷津小・公式ホームページ★
http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e611307
運動会に至るまでも、コツコツ更新しました。怒濤の2学期!忙しい!

Tag:校長日誌 

プロフィール

山口 照美

Author:山口 照美
前・大阪市立敷津小学校校長。現在は別の形で公教育に関わっています。

大阪市の公募で採用された民間人校長の1人。塾の校長経験を経て起業し、広報代行会社の経営やセミナー講師を11年間務めた後、2013年4月より3年間、校長職を務めました。

介護福祉士の夫と小3の娘、3歳の息子(2016年現在)に支えられ、「経済格差を教育格差にしない」を目標に、企画力と行動力で教育に関わり続けます。

著書『企画のネタ帳』(阪急コミュニケーションズ)『売れる!コピー力養成講座』(筑摩書房)『現代語で読む「たけくらべ」』(理論社)など。

日経DUAL連載中
http://dual.nikkei.co.jp/list.aspx?rid=1436

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