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民間人校長の意義?

 夕べ、防災訓練のワークショップの後に地域の方が集まる飲み会に参加したところ、「辞めたらアカンで」「体に気をつけや」とかなり心配していただきました。ありがとうございます。

 
 報道で改めて「民間人校長って意味があるの?」と問われています。


 
 「外から見た学校」の制度疲労や改善ポイントを外部に伝えたり、教育委員会を通じて上に上げたり、と言った利点はあるかと思います。以下に、私個人が「これはそれぞれの学校の実情に合わせて変えた方がいいのでは?」と思うポイントを、いくつか挙げてみます。



 (1)物が買いにくい!


 「校長経営戦略予算」で、クラス数に応じた金額が配布されました。職員室から運動場が見えないため、職員室からチェックできるよう防犯カメラとモニターを買おうとすると、3社からの見積もりが必要になります。指定業者からの見積もりのため、ネットで調べた値段より明らかに高額でも、その中から選ばなければならない。本気で節税する気があるのか?と思う時があります。そして、手続きが煩雑である=時間がかかる=「人件費」がかかるという概念は、特に学校現場には無いように思います。

 公金ゆえに透明性を大事にするのはわかりますし、業者との癒着問題も過去にたくさんあったのでしょう。それにしても「児童の安全ための物を買う」1つがさっとできないのには、苛立ちます。



 (2)学校行事が多すぎる


 社会見学、土曜参観、芸術鑑賞、縦割りイベント……などなど、学校行事が多いなぁと感じています。発表があるものは準備が要るので、授業も影響を受けます。行事が多いとクラスもなかなか落ち着かず、「腰を据えた学習」ができない印象があります。しかし、どの行事もそれなりの意義と歴史があって、なかなか変えられない。

 1つひとつ体験しながら、よりよい学びになるように、教職員のしんどさを軽減できるように、教職員と話し合っていきたい点です。
 


 (3)立派な「研究紀要」の謎


 年度末からどんどん送られてくる、立派な冊子。小学校の先生は授業研究に熱心です。指導案を作り、事前に検討会をし、指導主事に来ていただいて実際に授業をやる。学校によっては先生同士で模擬授業を見てチェックする。そして授業の後は授業内容の討議会をして、授業者が発表用のレポートをまとめる。これを一冊の冊子にして、教育委員会と各学校に配る。
 
 授業をやった先生と立ち会った先生には役立ちますが、外部に発信する手間はなくてもいいんじゃないか、「ウチはこんな研究授業をしますorしましたよ」とタイトルと概要だけ発信して、情報が欲しい先生が直接問い合わせてくる形でいいんじゃないかと考えています。

 学校にはあちこちからいただいた研究紀要が毎年どんどん溜まっています。大阪だけでしょうか?



 (4)研修のための研修?


 私も自治体の研修講師だったのでわかりますが、予定本数を埋めるための形骸化した研修が、特に全体研修には多い気がします。逆に、自発的・実践的な内容の研修は役に立っています。校長として、他の校長先生の実践を聞かせていただくのは何よりの研修です。浪速区の校長会の先生方には、お世話になりっぱなしです。

 先日、隣の小学校であった水泳の実技研修は教え方に悩む先生が多いのか大盛況で、私も学びがたくさんありました。 
 
プール
※授業が終わった夕方16時から、寒さに震えてプールに入っていた先生たち。音楽を使った指導法で、勉強になりました。


 (5)「スクラップなきビルド」の連続

 
 学校に課せられている役割は、年々増えています。「キャリア教育」が求められれば、学校内にキャリア教育担当を置き、年間計画を作り、実施しなければならない。「情報教育」が増えれば、担当者を置き、年間計画を作り……と、役割がどんどん増えていきます。いじめ、体罰、虐待防止、英語教育、小中連携などなど、増える一方です。反面、変わらないものもあります。

 教務主任の先生が、職員室の黒板に丁寧に来月の予定を書いているのを見ると「何十年もアナログやねんなぁ」と感心します。やるべきことやコンプライアンスの強化で提出書類は増えているのに、「無くなるもの」は少ない。教職員の負担は大きくなっていく。

 「昔の学校や教師はこれぐらいやれていた、だからできるだろう」という論理で学校や若手教員を責められると、ちょっとツライ。「昔の学校と今の学校の違い」についてはもう少しこっちも発信して理解を求めつつ、校長としての優先順位つけをしていきます。
 
   
 
 ……民間人校長としての役割があるとすれば、こういった気づきを以下の3点で解決に向かわせることかと思います。


 ・外に発信して解消アイデアや事例を集める
 ・教育委員会や各種担当部署に問題提起をする
 ・現場レベルで変えてみる



 3つめをやるには、時間が無いのが悩みの種。
 あっという間の3ヶ月でした。

 
 なぜ時間がないかというと、学校にはもともとの課題が存在しているからです。そして課題は日々移り変わっていく。即断即決で手を打たなければならないことが多くあります。



 保護者の方の期待は、自分自身が親なので痛いほどわかります。

 それぞれの子どもに魅力があり、可能性があります。その「ええとこ」を伸ばしたいという想いは、全員が一致しています。ただ、その想いが上手に家庭にまで伝わらないことがあります。

 もっと業務を省力化して「子どもを伸ばす」「家庭とつながる」ことに注力できる環境を作りたい。管理職としてそう考えています。校内の情報共有も、今以上に丁寧にやっていく予定です。


 6月は「はやねせんげん」を始めとする「すこやかしきつウィーク&デイ」で基本的生活習慣の見直しに取り組んでいました。7月は「言葉づかいや学習規律の徹底」に取り組みます。夏休みに向けた安全教育も、引き続き力を入れていきます。 


 一学期も終わり近くなりました。
 子どもたちが「成長した!」と実感できるようなまとめの月にしたいと思います。
 


《今週の一コマ》


 民間人校長のしんどさは、環境のまったく違うところへ入っていくしんどさがあります。また、子どもの命を預かる重責ですので、毎日神経を張っています。「やりたいこと」まで到達できず、疲労感いっぱいで帰る日もあります。

 そんな私を、保健室前の掲示板がいつも慰めてくれます。

かたつむり


 養護教諭のO先生が、敷津小の子どもたちを思って選んだ詩は、校長の胸にも密かに響いています(笑)。
 
 「のろのろ のろのろ あるいていても
  ちゃんと とおくへゆけるかたつむり」



 3年間で、どこまでゆけるだろう。
 
 子どもたちがそれぞれのペースで「とおくへゆける」ように導きながら、
 自分も学校も前に進んでいこう、と思える詩です。

 


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★敷津小学校ホームページ★
http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e611307
 先週は慌ただしく更新できませんでした。来週、4年の社会見学など掲載予定です!


テーマ : 小学校
ジャンル : 学校・教育

Tag:考えたこと 

プロフィール

山口 照美

Author:山口 照美
前・大阪市立敷津小学校校長。現在は別の形で公教育に関わっています。

大阪市の公募で採用された民間人校長の1人。塾の校長経験を経て起業し、広報代行会社の経営やセミナー講師を11年間務めた後、2013年4月より3年間、校長職を務めました。

介護福祉士の夫と小3の娘、3歳の息子(2016年現在)に支えられ、「経済格差を教育格差にしない」を目標に、企画力と行動力で教育に関わり続けます。

著書『企画のネタ帳』(阪急コミュニケーションズ)『売れる!コピー力養成講座』(筑摩書房)『現代語で読む「たけくらべ」』(理論社)など。

日経DUAL連載中
http://dual.nikkei.co.jp/list.aspx?rid=1436

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